電動工具の選び方と使用方法(切削編・その1)

ここでは主に、切削工具について紹介します。木工作業で使用する切削工具は、どの様なものがあるのか、どの様に使用するのか、使用に際し、注意すべき点などを紹介していきます。

では、先ず使用頻度の高い切削工具を見て行きましょう。

「トリマ」「ルータ」「木工旋盤」「自動カンナ」「手押カンナ」「電気カンナ」などが有ります。

「トリマ」「ルータ」は、溝加工や面取り加工などに使用する工具になります。共に高速で主軸が回転する工具になります。

「木工旋盤」は、加工物が高速で回転し、刃物台にバイトをのせて高速回転している加工物に刃物を押し当てることによって加工します。

「自動カンナ」「手押しカンナ」は、共に木材の表面を削って表面を平滑にする工具です。使用する目的に違いがあります。

「自動カンナ」は、板の厚みを予定の寸法に加工し、「手押しカンナ」は材料の直角を出すときに使用します。

次に、各電動工具の特性や使用方法について紹介します。

・「トリマ」「ル-タ」の使用方法

「トリマ」とは、上記の写真の工具です。木工作業では、大変重宝する工具の一つです。では、何が重宝するのか具体的な使用方法をここで紹介します。

「トリマ」は、回転部に刃物(ビット)取り付けることにより、木材などを切削する工具です。刃物の種類は多数あり使う刃物によって加工する部分も変わります。刃物軸径は、Φ6㎜と1/4インチ(Φ6.35㎜)の物があります。それぞれ、コレットと呼ばれる部分を6㎜用・6.35㎜と交換して使用します。

 

上記の「トリマ」本体と一緒に写っているのが、刃物の一部になります。一番上段は、加工物の角を丸くRをとる「ボ-ズ面ビット」です。中段の刃物は、ストレ-トビット」と先端部にベアリングが付いた「フラッシュトリムビット」と刃物の付け根部分にベアリングがついた「パタ-ンビット」です。「ストレ-トビットは、溝加工に使用します。「フラッシュトリムビット」は、化粧板などを貼った際、はみ出た部分を削る目地払いに使用します。「パタ-ンビット」は、テンプレ-トなどを使用するときテンプレ-トの型通りに削る作業に使用します。

一番下段は、「アリ溝ビット」と「U溝ビット」です。「アリ溝ビット」は、ダブルテ-ルとも呼ばれ、包みアリ継ぎと呼ばれる継ぎ手加工に使用します。主に、引き出しを作る際、使用する強固な組み方の一つです。

その他にも多数の刃物が売られておりアイデア次第では、様々な加工に使用可能な電動工具です。後程、先端工具については再度まとめて紹介したいと思います。

「ル-タ」は、「トリマ」と加工用途が似ていますが、パワ-の面では、断然「ル-タ」の方がパワフルです。ビット軸径もΦ12.0㎜と1/2インチ(Φ12.7㎜)の二種類があり、それぞれスリ-ブを交換することで使用可能になります。

刃物の軸経も太くなった分、剛性も増しより大きなビットも楽々切削が可能になります。例えば、「レ-ルビット」「スタイルビット」というビットがあります。

このような切削抵抗の大きな刃物を使用する場合、「トリマ」では、加工できません。パワ-不足です。「ル-タ」は、このような切削抵抗の大きな刃物を使用し加工できるパワ-を秘めています。上記ビットは、切さく面がピッタリと接合可能で額縁や扉などの加工に使用されます。

また、このようなビットを使用して加工する場合は、「ル-タスタンド」というものを使用します。これは、「ル-タ」を逆さまに固定し天板部より刃物を任意の高さで出しフェンスと呼ばれるあて定規に材料を添わしながら切削する補助スタンドになります。両手が使えるので加工がずいぶん楽になります。

・「トリマ」「ル-タ」使用時の危険について

「トリマ」「ル-タ」は、主軸回転数:毎分20,000~30,000回転する電動工具です。

刃物の回転方向は、本体を上から見て時計回り右回転です。よって、切削物は常に向かって左側に来るようにセットします。右側に来ると本体に手が大きく前方に引っ張られることになります。「トリマ」も事故が多い工具になりますが、このようなことを知らずに使用し怪我をする場合があり使用前には、機械の特性をよく理解していることが望まれます。この事例は、時に大怪我を自分が負うか、近くで作業していた第三者を巻き添えにする可能性もあり恐ろしい事であることを認識している必要があります。

私も経験がありますが、あっという間に前方に手元が持っていかれます。経験すると大変冷や汗ものです。幸い怪我にはいたらず現在に至っていますが、皆さんも注意してください。

次に、一度の切削量は、3㎜程度を目安に加工することをおすすめします。例えば、深さ12㎜で幅18㎜の溝加工をする場合、刃物の突き出し量は、初め3㎜出し所定の溝加工、再度3㎜追加で刃物を出し6㎜で加工、また9㎜で加工し最後に予定の寸法である12㎜刃物をベ-スより出し加工します。

木材の硬さなどにもよりますが、杉のような柔らかい材質の木材でも、一度の刃物の突き出し量は、3㎜~5㎜が限度です。(安全に作業するためには)

先ほどの例で、深さ12㎜幅18㎜の溝加工をいきなり12㎜刃物を出し加工した場合、電動丸鋸と同じ「キックバック」を引き起こし一瞬のうちに工具が弾き飛ばされてきます。木工作業で最も怖い瞬間です。

注意のポイント!

  1. 切削物(材料)は、自分から見て左にあること。・・・右に材料があると本体が前方に走り出します。
  2. 刃物の突き出しは、3㎜を最大としそれ以上沢山だし過ぎない。・・・「キックバック」

・木工旋盤」「自動カンナ」「手押カンナ」「電気カンナ」は、別途記事で触れています。そちらをご覧ください。