電動工具の使用方法と選び方(切断編)

ここでは、木工において使用する電動工具のうち「切断加工」に使用する工具について紹介します。

木工作業では、木材を指定寸法に切断し目的の物を製作します。木材の切断に使用される工具には、「電動丸鋸」「スライド丸鋸」「バンドソ-」「テ-ブルソ-」「ジグソ-」などがあります。それぞれ機械の特性があり、使用には細心の注意が必要な工具になります。それでは順に「切断工具」について見ていきましょう。

・「電動丸鋸」「スライド丸鋸」「テ-ブルソ-」

ここで紹介する三種の電動工具は、丸い刃物を高速で回転させ木材を切断する工具になります。

「電動丸鋸」は、木工作業ではよく使用する工具になります。丸鋸の大きさもいろいろあり一般的なDIY作業には、刃物経が165㎜又は190㎜の物が取り扱いやすく最もスタンダ-ドな物になります。切断する物によって刃経が380㎜といった大型の物もありますが、DIY作業にはあまり使用しないと思います。

「電動丸鋸」は基本定規に沿わせながら直線に木材を切断します。長辺の切断に定規を使わずにそのまま切断加工しますと「キックバック」という恐怖が加工途中に襲い掛かってきます。「キックバック」については、後程ふれます。

利点:取り回しがよく使用する用途が多い。細かな加工から長い直線カットまでこなせること

「スライド丸鋸」は、丸鋸にスライドレ-ルが付いた工具で、丸鋸の姿勢が安定しているので比較的幅の狭い板材などを切断するときに便利な工具です。また、刃物台が任意に傾斜可能で斜め切断が安全に行えます。斜め切断には、二種類あり板そのものを斜めに切断する切り方と切り口が斜めになる切り方の二種類があります。「スライド丸鋸」この両方を安全にかつ正確に行うことができます。一般的に三角定規の角度(30度・45度・60度・90度)以外の例えば25度や38度といった角度においても本体に刻まれた目盛りを合わせることによりこれら一般的にあまり扱わない角度の置いても精密でかつ綺麗な切断が可能になります。

利点:角度切りが容易で丸鋸がスライドレ-ルに固定されているので切断姿勢が安定し加工しやすい。

「テ-ブルソ-」は、同じ寸法の板を切り出す作業、長尺物の挽き割りに威力を発揮します。電動丸鋸やスライド丸鋸でも切断加工できますが、やはり1820×910の板を必要寸法にカット加工するには、テ-ブルソ-に勝るものはありません。

板の両端が並行にきちんと寸法を出すことができます。丸鋸で墨線を引いて当て定規をして切断すると入りと出で寸法が1~2㎜違ってしまう事もありますがこうした加工こそテ-ブルソ-はあ簡単にかつ安全に作業できます。

利点:大きな板を短時間に寸法カットするのに適している。また、長尺物を長手方向に分割カットする際も適している。

・使用上の注意!

上記は、切断工具の代表格です。ですが、非常に危険な電動工具でもあります。ここでは、使用時の注意点と危険について紹介します。

  1. これら丸鋸類を使用する際は、軍手などの手袋は基本外して作業します。なぜか、それは作業時に丸鋸の刃が軍手をした手に触れると、引っかかって巻き込んでしまうからです。本当に一瞬のうちに指が消し飛んでしまいます。この場合、指の1本や2本の切断ですまない大怪我になります。手袋をしていないともし刃に接触しても接触した部分は切創しますが、それ以上の怪我になるリスクは低くなります。
  2. 切断加工時、丸鋸(ブレ-ド:刃)の部分に手(指先)を近づけないようにするために、材料を押し込むのは、300㎜×50㎜×18㎜の木っ端切れで押して切断すると、刃物近くに手元を近づけずに済むので事故防止になります。高速回転している刃(ブレ-ド)部には極力手を近づけないように注意しましょう。
  3. 材料の切断時、最も冷や汗をかく恐ろしい現象は、「キックバック」です。「キックバック」は、材料切断時に材料が丸鋸の刃を挟むことにより丸鋸本体が自分の方に向かってくることを言います。まさに、キックしてバックして来るんです。それは、切断加工時突如起こります。なので、非常に危険です。図に表すとこんな感じになります。
  4. キックバック」を防ぐためには、材料をカットするときに、材料を切断後も同じ高さで維持できるように角材に乗せて私は切断しています。同じサイズの角材を使用する場合は、4本用意し切断墨線の左右2本づつで墨線と平行になる様に材料の下部に敷きます。そして、材料を保持し、切断後切断途中で材料が下方に垂れたりしないようにすることです。材料が切断途中で重力に引っ張られて下向きに下がると丸鋸の刃を左右の材料切り口で挟み込むようになりその時「キックバック」が、やってきます。この、「キックバック」ではね飛んできた丸鋸の刃で太い血管を切断し失血死した事故例は多数あり、知らなかったでは済まない事がわかりますね。また、材料を4本の垂木でしっかり保持していても「キックバック」が起こる場合もあります。それは、乾燥が不十分な厚い板を切断するときです。回転工具ですので切断面は摩擦熱で熱くなります。この時、分厚い板の場合切断面で木材が収縮して車のディスクブレーキのように丸鋸の刃を強力に挟みます。そして、あいつがやってきます。そう「キックバック」です。実際、私も何度か体験済みですが、まさに恐怖です。幸い大怪我は一度もありませんが、一事が万事です。安全作業は、自分のためです。注意してください。