本棚・本立ての製作(棚作りをワンランクアップ!)
「読書が好き」、「専門雑誌を多数保管したい」、「趣味の書籍の保管場所に困っている」私もそうですが、趣味の専門書籍は知らず知らずの間に結構たまってきます。以前まで収まっていた場所もいつの間にかいっぱいに。「処分するか」と思っても、いざ捨てるとなると捨てられない、こんなことがよく私はあります。皆さんも程度に差はあっても経験がおありだと思います。そんな時、本棚があればきれいな状態で且つ、いつでも取り出せる状態で保管できればいいですよね。
今回は、自分の思い出や思いが詰まった書籍を保管する「本棚・本立て」の製作について紹介したいと思います。本棚は、普通に通販でも購入可能ですし、わざわざ自分で作る必要があるのかという声も聞こえてきそうですが、自分で製作する理由として私が考える事は以下の通りです。
- 部屋のデッドスペースになっている隙間を本棚として使うとき、市販品にはぴったりのサイズの物は無い。
- 本棚を置きたい場所になじむデザインの物がない。(自分のお気に入りがない)
自分で作る理由としては、上記に挙げた2点が主な理由になるかと思います。それでは、具体的に本棚を作る際どういったものがあるのか幾つかのパタ-ンにわけて紹介します。
・本棚を作る
まず、作ろうとしている本棚にすでに決まった大きさの本が並ぶ予定なら棚位置は初めから決まったものになります。要するに固定棚です。ですが、今はこの本を管理するのに使用するが数年後にはサイズの小さい本がこの本棚に乗るといった具合にその時々で整理される本が違う場合は、可動棚にしておくべきです。可動棚は、いくつか方法があります。後程作り方の中で説明します。
製作前に整理しておく情報
製作前にどのような物を製作するのか・したいのかを明確にしておく必要があります。以下の項目を自分なりに整理して製作にかかりましょう。
- 本棚の棚は、固定棚又は、可動式棚どちらにするかを決めておく。
- サイズの計測をし、自分が納めたい場所の寸法を測ります。間口寸法×奥行寸法×高さを巻き尺で計測します。
- 計測した寸法を参考に本棚のイメ-ジ図を作成します。次に、このイメ-ジ図を基に設計図を製作します。この時、間口寸法は、計測寸法のマイナス10㎜しておくことをおすすめします。キチキチのサイズで製作すると、据え付け時に壁や設置済みの家具とこすれあって傷がつきます。若干の余裕を見て製作します。
- 設計図は、材料の切り出し寸法を確認するうえで重要です。出来る限り詳しく詳細に描きます。図面は、三面図で描くと寸法の確認がしやすいので図面は、三面図で記載します。
- 図面から必要寸法の板材の枚数を割り出すことができます。必要寸法の板の枚数が確認出来たら、次は、部材取りについて木材のカット図を作成します。基本本棚などを作成する場合、材料の寸法1820×910×厚みといった大きさの板を購入するかと思います。ここで、板の購入枚数が決まり製作を実行に移せます。
さあ!本棚の製作開始。
寸法を測り、図面を描き、図面をもとに必要材の枚数をサイズごとに数え、板の購入枚数を計算し、購入する板の部材取りのカット図を作成したら、ホ-ムセンタ-で目当ての木材を必要枚数購入し、そのまま、カット図を基にホ-ムセンタ-でカットしてもらいましょう。1カット=30円前後でカット加工してもらえます。もちろん、正確な寸法にカットしてもらえます。(1㎜~2㎜の誤差が生じる場合がありますが、私は今まで2㎜もずれてカットされたことはありません。)
カットされた板材は、自宅へ持ち帰り、まずすべて裏表をペ-パ-で磨きます。#240番のペ-パ-で表面を磨きます。ランダムサンダ-やオ-ビタルサンダ-をお持ちであれば、そちらで一通り磨きます。なぜここでまず磨くか、それはここで磨いておかないと完成後では隅の方は磨きにくくなるので後の作業を段取りよく行うために下準備です。
研磨が終了したら、各パ-ツを組み付けてい行きます。組付けには、主に「コ-スレッド」という木ねじを使用し、木工用ボンドも使用します。
以下に組み立て時に使用する工具と材料を記載します。
(使用工具)
・インパクトドライバ- ・ランダムサンダ-
・鋸 ・金槌 ・紙やすり ・椎茸ビットΦ10㎜ ・Φ2㎜ドリル刃(インパクト用)
・F型クランプ(固定するのに必要な長さの物)最低4本
(必要材料)
・必要寸法にカットされた板材 ・コ-スレット(ネジ脚:45㎜)
・木工用ボンド ・Φ10㎜のヒノキ丸棒
以上で組み立て作業に移ります。これより先は、製作する物の大きさや作りによってさまざまな組み合わせがありすべてを説明することができないため、ポイントを紹介するにとどめます。組み立て時に注意すべきことと加工手順をそれでは見ていきましょう。
・本棚完成までのチェックポイント!!
上記写真は、本棚の製作例です。この本棚は、各棚に並べられる本やアルバムといった物が決まっていましたので、各棚は、固定式になっています。
ここで、説明する本棚は、もう少し簡単な物にしたいと思います。
上記の様な本箱の製作手順で組み立てのポイントを見ていくことにしましょう。
1)寸法カットと表面研磨が一通り終わった材料を各部分ごとに仕分けします。
2)分けられた材料を順に組み立てていきます。まずは、左側面から中央仕切り、最後に右側面の枠を組み立てします。まず、写真からわかるように、各仕切りは、「ロ」の字型になっています。材料は、図のように配置します。
3)並べた材料図の矢印の部分に、(板の厚みの半分のところ)十印をつけます。図にするとこんな感じ。
4)十に下穴加工をします。これは、2つ理由から行います。①いきなり木ねじ(コ-スレット)を打ち込むと材料が割れてしまうということ、②木ねじが打ちやすくなるということから先に下穴をあけます。
その前に、木ねじを打つとき、打った木ねじの頭を見えなくする技があります。「隠しクギ」です。作品がより自然体できれいに見えます。手順は、先ほど十字の印をつけた木ねじを打つところにΦ10㎜の椎茸ビットで深さ10㎜の穴をあけたのち、Φ2㎜のドリルで中心部に貫通穴を加工するだけです。図にするとこんな感じで、使用例の写真がこれです。
5)穴加工が終了したら、今度は組み立てます。接合面に「木工用ボンド」を塗ります。材料を所定の位置に配置し先ほどした穴加工した部分に木ねじを打ち込みます。この時、材料と材料の接合面に隙間が空かないように固定しながら木ねじを締めつけます。
6)両側面と中仕切りがこれで完成です。次に、各仕切り板と底板を接合します。先ほどと同じように、木ねじの下穴をあけます。下穴加工が終了したら木ねじで底板と各仕切り板を接合します。
7)本箱らしくなってきました。次に、背板の接合に入ります。手順は同じです。背板設置位置に印をつけ同時に下穴加工を施すところにも印をつけます。印が付いたら、先に下穴加工をし、木工用ボンドを接着面に塗布します。そして、木ねじで固定します。(接合面に隙間が空かないように注意!)
木ねじを打った部分がΦ10㎜深さ10㎜程度の穴のまま残っているので、ここで同じ太さのヒノキの丸棒を打ち込みノコギリで切り落とすという作業を空いている穴すべてに施します。切断面は、ペーパ-で磨いてきれいにします。
8)これでほぼ完成です。角は紙やすり240番程度の物で面取りをし、丸みをつければ完成です。また、はみ出た木工用ボンドは、濡らした雑巾できれいに拭き取っておいてください。
なぜか!
塗装の際、(特にステイン系と荏油・亜麻仁油などの塗油使用時)この時、拭き忘れた木工用ボンドの跡がくっきりと浮かび上がって塗装がうまくいきません。必ず、木工用ボンドが乾く前に余分にはみ出たボンドは拭き取っておくこと。
9)今回は、荏油にて仕上げます。ぼろ雑巾に荏油を適量を塗り伸ばすだけです。板表面に油が浮いている箇所は、奇麗な布で拭き取ります。表面を油でべとべとにすると奇麗に仕上がらず、油を塗りすぎた部分がいつまでもべとべとねちゃねちゃします。時間がたてばどうにかなるものではありません。必ず、余分な油分は奇麗な布で拭き取っておくこと。きれいに仕上げるポイントです。
どうですか、手順が分かれば組み立てはそんなに難しくないと思います。