製作品に使用する塗料について

木工で最後の仕上げが、塗装です。場合によっては無塗装で終えることもありますが、その場合は、鉋掛けが命となります。

ここでは、その「塗装」について紹介したいと思います。

私は、主に使用する塗料は、大別すると

・ラッカ-系・シンナ-系塗料(油性塗料)・・・外で使用することが多い物には使用します。

・合成漆・・・主に小物に使用します。例えば、筆箱や写真立て額縁などに使用しています。(屋内使用品)

・塗油・・・塗油は、荏油・亜麻仁油・桐油・ヒバ油・ひのき油などを単独またはブレンドして使用します。(屋内使用品)

・蜜蠟・・・蜜蠟は、主に荏油に溶かしたものを使用し配合比は、蜜蠟:荏油=1:4ぐらいです。好みでヒバ油をブレンドする場合もあります。(屋内使用品)

以下、それぞれについて使用方法を紹介したいと思います。

ラッカ-系・シンナ-系塗料

ラッカ-シンナ-系の塗料とペイント薄め液を使用するシンナ-系の塗料は、外で使用することが多い工具箱や道具箱・作業台などに使用しています。

屋内で使用する物は、このシンナ-系の塗料を使用すると溶剤の臭いがすることと、子供もいる密閉空間に有害な溶剤を持ち込むことにより吸引してしまい健康に害をもたらす可能性が高くなるので私は、屋内使用品には、この溶剤系の塗料は使用しません。

もちろん、溶剤系の塗料にも優れた点は多々あります。まず、雨に強い・紫外線に比較的強い塗料が多い・乾燥が早いなどがあげられます。

漆(うるし)

漆塗膜は、水に対して非常に強いです。なので古くから茶碗など漆器に使用されてきました。

私が、漆を使用する物は、文具品や額縁類に使用します。漆の希釈に専用の有機溶剤を使用しますが、比較的物品が小さい物が多く家具に比べると塗布面積もそれほど広い訳でもないので屋内品にも使用しています。

漆を使用する目的は、やはりどの塗料にもない艶と塗膜の強靭さがあげられます。艶は、水に濡れたような潤いのある艶が魅力です。その上、塗膜はかなり強靭です。また、水に対する耐性は抜群です。

何処をとっても完璧なような漆ですが、紫外線にはめっぽう弱く太陽に野ざらしにすると劣化が激しくなります。

また、塗布工程も神経を使います。埃や塵が少ない場所で塗装する必要があり、乾燥に非常に時間がかかることなどがあげられます。

また、本漆は、乾燥時空気中の湿気を吸収しながら乾燥するので、専用の室が必要です。個人でするなら、お風呂がベストな場所じゃないでしょうか。その点が、他の塗料にはない面倒なところですね。

塗油(荏油・亜麻仁油)

 

塗油は、昔から木製品の艶出しなどに使用されてきました。その艶は、しっとりとして落ち着いた感じを与え、また、木そのものの風合いを損なうことなく仕上げることができます。

塗油も今回紹介する塗料の中でも塗布作業は、比較的重労働です。

塗油は、乾性油です。その乾燥は、空気中の酸素と反応し膜を形成します。塗油は、一度に沢山塗布するとベタつきの原因になります。また、このベタつきは、シンナ-系の塗料とは違い、時間の経過とともになくなるものではありません。いつまでもベタベタした状態のままになります。

塗油は、一度に厚塗りするのではなく少量づつを刷り込むように塗り込み、乾燥した布でそのあと余分な油をふき取る様に拭き磨きます。これが結構重労働です。こすればこするほど艶が出てきます。

作業で使用した布類は、水に濡らしてビニ-ル袋に入れ、中の空気をしっかり抜いて口をきつく縛り、ゴミ箱に入れましょう。

こうすうる意味は、酸化により膜を形成する際、酸化熱で自然発火する可能性があるからです。これは、天かすが大量に盛られた状態で放置すると自然発火で燃え出すのと同じです。

水で使用済みの布を濡らすのも熱の蓄積を防止するのと濡れたもの本体は燃えることはないですね。また、袋内の空気を抜くのも酸化を防止するためです。

要するに、使用済みの布を大量に一か所に集約して捨てると、酸化熱がその布の束の中で蓄積し発火点に到達すると火が「ボッ」とつき火事になるという事です。注意しましょう。

蜜蠟(ミツロウ)

蜜蠟は、水に対して耐性を持たせたいときに使用しています。蜜蠟は、ホ-ムセンタ-の塗料のコ-ナ-に売られています。100g程度のブロックで売られています。

この固形状態で使用もできますが、使い難いです。私は、上記の荏油で割って使用しています。混合比は、蜜蠟:荏油=1:4ぐらいです。蜜蠟の割合が少なくなればなるほどワックスは、柔らかくなり塗りやすいですが、蜜蠟が少ないため水に対する弾きの持続は弱くなります。

市販で売られている蜜蠟ワックスは、蜜蠟:油=1:9ぐらいです。また、菜種油を使用していることが多いですね。ですが、値段はそこそこいい値段がついています。

私は、もっぱら自分で蜜蠟ワックスを作りますので材料は、良い物を使っていますが、単価は安く抑えられます。一石二鳥ですね。

蜜蠟ワックスの作り方は、別途記事にて紹介しています。そちらもご覧ください。

 

少し話は脱線しましたが、蜜蠟は、蜜蠟ワックスにして塗布します。塗布方法は、塗油と同じです。

一度に厚塗りせず、出来る限り薄く延ばすように塗ります。塗布後は、乾いた布で刷り込むように拭き取ると良い艶が出ます。

まとめ

塗料は、私は基本的に屋内製品には、自然系塗料を使い、屋外製品には、溶剤系(油性)塗料を使用します。

自分以外にも子供や妻が居るので、有機溶剤は屋内にあまり持ち込まない方が無難ですね。ハウスシック症候群やアレルギ-症状を起こす場合もあり注意が必要です。自然系の塗料は、そういった心配はほぼありません。施工に関しても順序を守り適正な処理を施せば落ち着きのあるしっとりとした良い艶が出ます。

鏡のような艶は、塗油では出せませんが、何を優先するかで独自で判断してください。油性塗料も乾燥工程に時間をかければ有機溶剤の濃度も下げることができると思います。

後は、何に重いきを置くかで施工方法も変わってきます。最後は、皆さんの判断にお任せいたします。